主流を外れた静かな職場、地方で入婿状態の息子、よりによって妻子持ちと交際中の娘。5年前に妻を亡くし、まだローンの残る建売の家でぽつんと一人、主人公は自分の役目は終わったと感じている。そんなある日、娘に再婚を勧められ──。初老のサラリーマンの寂寥をくっきりと描く「早春」。加えて時代小説「深い霧」「野菊守り」と、司馬遼太郎について書いた「遠くて近い人」など、著者晩年の心境をうつしだす随想、エッセイを収録。藤沢周平が身近に感じられる1冊です。
Shuhei Fujisawa Ordre des livres (chronologique)


文春文庫: 麦屋町昼下がり
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「お助けくださいまし」と夜道を走ってきた女をかばい、片桐敬助は、抜き身の刀をもった男を斬った。かわせば女が斬られ、受ければ自身が手傷を負ったにちがいない。しかしその男は、藩内随一、とうたわれる剣の遣い手・弓削新次郎の父だった……。片桐と弓削、男の闘いの一部始終を、緊密な構成・乾いた抒情で描きだす表題作のほか、「三ノ丸広場下城どき」「山姥橋夜五ツ」「榎屋敷宵の春月」と円熟期の名品を収録。時代小説の味わいを堪能できる贅沢な1冊!